ランドスケープデザイナー 大西 瞳さん
ランドスケープデザイナーとして建物のエクステリアや植物を使ったプロダクトデザインなどに携わりながら、里山保全や街の再生にも取り組んでいるグリーンセイバーマスター、大西瞳さんです。
都会と里山をつなぐ、新しいライフスタイルを模索中。
ランドスケープデザイン
という仕事に出会って。
大学で彫刻を専攻し、卒業後は空間デザインの仕事をしていたのですが、10年ほどたった頃、小さい時から好きだった植物にかかわる仕事がしたいと思うようになりました。でも造園業や花屋さんではないなぁと思っていたところ、ランドスケープデザインという仕事を知り、勉強を開始。ちょうどその頃、すでにランドスケープの仕事をしていた夫と出会い、一緒に立ち上げたのがこの「マインドスケープ」という会社です。
ランドスケープデザインというと大規模な外溝の設計をイメージされると思いますが、私は比較的小規模なものが得意で、集合住宅やリゾートホテルのエクステリア、ビルの屋上緑化、個人宅の庭のデザインや、小さな植物を使ったプロダクトデザインなどをやっています。
グリーンセイバー検定を受けたのは7年ほど前。一年中花や緑が楽しめる庭にしたい、手をかけなくても枯れない庭がいい、といったお客様のご要望をかなえるためには、どうしても外国の品種を扱うことが増えるので、これでいいのだろうかと思っていた時でした。ネットで知ったグリーンセイバーのテキストを見てみたら、植物の知識もあり、環境系の本もいろいろ読んでいた私ですが、これは勉強しなければと思わせられるすばらしい内容でした。勉強しはじめたらさらに面白くなって、セミナーや高尾山の合宿にも参加。あんなに長時間の授業を受けたのは久しぶりでしたが、とてもためになりました。
「南房総リパブリック」の
立ち上げに参加。
マスター取得後、環境への関心がますます高まり、海外での取り組みを調べたり、同じような興味をもつ人たちと情報交換したりしていました。その過程で、以前から知り合いだった編集者の女性が南房総に民家と山を買い、週末をそこですごしていることを知ります。3人のお子さんと川遊びや畑仕事をしたり、地元の人たちと交流したりする様子を知るうちに、私にも何かできるんじゃないかと思うようになったのです。
子どもたちに自然を体験させたい、農業をやってみたいという人はいっぱいいますが、東京には土地がありません。南房総は土地が肥えていて農業もやりやすいのですが、手入れができなくて放置されている里山がたくさんあります。だったら、農園付きセカンドハウスのようなものをみんなでシェアして、農業、自然体験ができる里山学校、里山保全ができたらいいね。地元の農業や林業を支援したり、いずれは移住して限界集落の改善につなげられたらいいね、というアイデアに共感する人たちが集まり、私も理事のひとりとなって、NPOを立ち上げました。「南房総リパブリック」という名前です。
※「南房総リパブリック」の最新情報はfacebookでもご覧いただけます。
グリーンセイバーの皆さん、
手を貸してください。
それと並行して考えているのが、事務所のある洗足という街の再生です。昔は高級住宅街だったのですが、今は一人暮らしのお年寄りが多く、開発からも取り残されて、ちょっと寂しい感じになっています。具体的には、街の人たちが集まれるようなカフェを秋頃にはオープンする予定。そこで南房総のおいしい野菜を提供したり、情報を発信したりして、「南房総リパブリック」とつなげられたらと思っています。
「南房総リパブリック」はまだ立ち上げたばかりですが、少しずつメンバーを募って、子ども向けのワークショップに草刈りや農作業を組み合わせたり、楽しみながらできるようなかたちにしたいと思っています。山部分の管理もこれからの課題なので、知識と経験が豊富なグリーンセイバーの皆さんも、ぜひ参加してください。
(2011年9月発行、聚レター118号より)
【追記】洗足カフェ
2011年10月23日にオープンした「洗足カフェ」は、3年の契約期間満了にともない、2014年9月30日に閉店することになりました。日替わりオーナー制で、曜日ごとに違うオーナーさんのお料理が食べられるなど、ユニークで素敵なカフェです。興味をもたれた方は、閉店までにぜひお訪ねください。